文部省 科学研究費補助金 新学術領域研究 植物発生ロジックの多元的開拓

PubMed ID 26903507 Pubmed 日付 2016/Apr/1
タイトル The coordination of ploidy and cell size differs between cell layers in leaves.
ジャーナル Development (Cambridge, England)  2016/Apr/1  143(7)  1120-5 
著者 Katagiri Yohei Y,Hasegawa Junko J,Fujikura Ushio U,Hoshino Rina R,Matsunaga Sachihiro S,Tsukaya Hirokazu H
抄録 Growth and developmental processes are occasionally accompanied by multiple rounds of DNA replication, known as endoreduplication. Coordination between endoreduplication and cell size regulation often plays a crucial role in proper organogenesis and cell differentiation. Here, we report that the level of correlation between ploidy and cell volume is different in the outer and inner cell layers of leaves ofArabidopsis thalianausing a novel imaging technique. Although there is a well-known, strong correlation between ploidy and cell volume in pavement cells of the epidermis, this correlation was extremely weak in palisade mesophyll cells. Induction of epidermis cell identity based on the expression of the homeobox geneATML1in mesophyll cells enhanced the level of correlation between ploidy and cell volume to near that of wild-type epidermal cells. We therefore propose that the correlation between ploidy and cell volume is regulated by cell identity.

 核内倍加の細胞サイズに及ぼす効果には組織特異性がある

東京大学;統合バイオ 発生進化 塚谷 裕一  投稿日時[2016-04-07 17:00:09]

核内倍加によって細胞サイズが大きくなる現象は、以前から広く注目を集めてきたが、シロイヌナズナにおける解析は、胚軸、葉など、いずれも表皮細胞についての知見に基づくものだった。ところで実際に核内倍加現象がどの程度起きているのかの解析は、組織を丸ごと緩衝液中で刻み、そこから得られる核をフローサイトメトリーにかけるというやり方でなされてきた。これは妙ではないか?
 なぜ妙か。
1)葉の表皮は確かに、核内倍加のレベルに応じて大小さまざまな大きさの細胞が混じっている。しかし柵状組織はそんなことがなく、いろいろな変異体や形質転換体を調べても、標準偏差のかなり小さな、single peakをしめす細胞サイズ分布を示す。
2)ところが葉での核内倍加は、これまで非常に多くの研究室が、多くの論文で、活発に起きていると報告している。この場合、解析は上記の通り、葉を丸ごと切り刻んでの解析である、そこで解析されている核の大多数は、葉肉細胞から由来するものはずである。
 となると、葉肉細胞では核内倍加が活発に起きているにもかかわらず、細胞サイズがそれに応じて変化するようなことがない、ということを示唆するのではないか。
 そこで葉肉細胞と表皮細胞を分けて核内倍加のレベルを調べたところ、両者とも葉では同程度に核内倍加が起きていることが確認された。やはり葉肉細胞でも核内倍加が起きているのだが(これまで解析された核内倍加は、ほとんど葉肉細胞のデータだったことになる)、細胞サイズはそれに対してあまり変化していないらしい。in situでのここの核のゲノム量と細胞サイズの関係を、TOMEI法により解析したところ、上記の解釈が妥当であることが判明した。
 さらにそこで、表皮のアイデンティティーを与えるATML1を、葉肉細胞に発現させた場合、核のゲノム量と細胞サイズとの関係がどうなるか調べたところ、興味深いことに、相関性が上昇した。
 以上のことより、核内倍加の細胞サイズに及ぼす効果には組織特異性があることは明白である。従来の、核内倍加に基づく細胞サイズ制御の議論は、この視点から見直す必要がある。