文部省 科学研究費補助金 新学術領域研究 植物発生ロジックの多元的開拓

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領域概要

研究領域名 植物発生ロジックの多元的開拓

領域代表:東京大学・大学院理学系研究科・教授 塚谷 裕一

【本領域の目的】

植物の発生・成長の本質的な発生ロジックは未だに明らかになっていない。本研究領域では、この<植物の発生ロジック>を細胞内および細胞間における鍵遺伝子や代謝の相互作用が織りなすシステムとして理解すべく、複数のモデル植物を扱う9つの計画研究班と4つの支援体制(メタボロミクス解析拠点整備、シロイヌナズナ転写因子の完全ライブラリー構築、ゼニゴケへの研究拡充支援、数理モデリング研究)を組織し、互いの連携を活かした多元的な解析研究を行なう。そのため総括班では、共同研究が円滑に進行するよう、各班員の研究内容、実験材料、技術などについて、互いに深く理解するための場を様々な形で提供する。また、研究の進捗状況を班会議などで互いに確認しあう。さらに、社会に対する広報、若手研究者の育成を積極的に行ない、当該分野における日本の研究レベルのさらなる発展に貢献する。

【本領域の内容】

本領域の目的は、植物の生命現象の本質的なロジックを解くことであり、ひいては発生生物学全体にわたる理解と研究スタイルとの双方にブレイクスルーをもたらすことが目標である。そのため班を分けず、9 名の計画班班員が互いに協力し合う形での有機的連携研究を進め、多元的な解析を有機的・立体的に織りこんだ研究の場を形成する。ここで意識している多元性は、以下の5つである。

  1. 植物の生命現象の階層性を意識した、器官別の解析
  2. 植物ホルモンや転写関連因子、ペプチド性シグナル分子、低分子RNA の解明という、分子遺伝学を軸とした第2次元
  3. イネやゼニゴケという別システムへの投射という第3次元
  4. メタボロームを使った、代謝と発生の接点という第4次元
  5. そして複雑なネットワーク網から本質的な経路を抽出するための、数理解析という第5次元

これらが立体的に組み合わさった研究の網の目を使って、計画班自ら世界をリードし、未開拓の分野を切り開く。それと共に、この網の目状の研究の場に、優秀な若手を中心とした公募班研究をそこへ組み合わせ、一丸となって、植物の発生の本質的なロジックを解き明かす。また総括班では、各班員の研究が円滑に進むよう研究支援体制・支援ツールを整えるとともに、班会議やオンライン上でのフォーラム、ワークショップの開催など、領域の活動を推進させるための運営を行なう。これにより、植物の発生成長制御ネットワークの、その中でも本質的な経路を解き明かし、発生の背景にあるロジック、根幹的な経路を摘出する。端的には、植物の発生生物学に関する教科書に載る本質的な発見を進めたい。

【期待される成果と意義】

本領域は植物の本質的な発生ロジックについて、対象とする発生現象が異なる9つの計画班と4つの支援体制の強い協力体制によって解き明かすこと目指している点で、国内外に類のない植物発生に関する研究グループを構築する。この領域による多元的かつ開拓的な研究によって、植物発生戦略に留まらず、広く生物発生戦略の体系的理解に寄与することが期待される。また、本領域で得られる成果が、将来、生産環境農学分野の遺伝育種科学、作物生産科学、園芸科学、環境農学といった応用研究分野にも広くインパクトを与え、ひいては地球環境悪化や食料不足問題といった地球規模の問題解決に寄与することができれば、本領域研究の成功は非常に意義深いものとなるだろう。

【キーワード】

植物発生ロジック

植物が発生・成長していく際の内在的プログラム、環境に応答し最適化する成長プログラムの、その背景にある機構。しかもその本質的なシステム

ゼニゴケ

陸上植物の基部に位置するタイ類のモデル種。遺伝子重複が極めて少なく、体制が単純であり、遺伝子ターゲティング等も容易のため、植物の根源的システムを摘出するのに適している

メタボロミクス

生物がもつ代謝産物を網羅的に解析する解析手法

【研究期間と研究経費】

平成25年度-29年度  1,210,000千円

【代表者連絡先】

〒113-0033
東京都文京区本郷7−3−1 東京大学理学部2号館
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